ショコラという言葉はチョコレートのことを呼ぶときに使われるほか、ガトーショコラのようにお菓子の名称に含まれることもあります。特に専門店などで販売されている一口サイズのチョコレート菓子「ボンボンショコラ」をショコラと呼ぶことが多いでしょう。ショコラとはフランス語でチョコレートのことですが、日本語で2つの言葉はやや違うニュアンスで使われています。
この記事ではボンボンショコラを含むショコラの種類や、チョコレートとの違いなどについて解説します。
ショコラとは
ショコラとはフランス語でチョコレートを指す”Chocolat”をカタカナで表記した言葉です。日本ではガトーショコラ、フォンダンショコラなどお菓子の名前としても使われることがあります。なお、チョコレート職人をショコラティエと呼ぶのは、フランス語の”Chocolatier”を参考にしているためです。
チョコレートとは
チョコレートとは、英語のChocolateを日本語にした呼び方です。日本には1797年に長崎へ持ち込まれたのが最初といわれており、「しょくらあと」と表現した記録が残っています。その後、大正時代に国内でも大量生産が始まり、本格的に普及しました。
チョコレートは原材料のカカオに乳脂肪分や砂糖などを加えて作られます。また、風味付けのためにナッツや香料などを混ぜることもあります。各材料の配合割合などによって香りや味わい、口溶けなどが異なるのがチョコレートの魅力です。
ショコラとチョコレートの違い
ショコラはフランス語、チョコレートは英語という違いはあるものの、意味は同じです。しかし、日本において2つの言葉はやや異なるニュアンスを持っています。チョコレートという言葉はお菓子の種類を指すだけでなく、スーパーやコンビニで手軽に購入できるチョコレートやチョコレートを使ったお菓子も含む言葉です。
一方で、専門店で販売されている商品のように、高級感のあるものや高品質なものはショコラと呼ばれる傾向にあります。身近なお菓子というよりは特別な機会に楽しむ嗜好品というニュアンスを持つのがショコラという言葉です。
市販されているショコラの種類
ショコラがフランス語由来の言葉であることからわかるように、チョコレートの本場はヨーロッパです。はじめは飲み物として広がったチョコレートは19世紀に食べ物として楽しむ方法が発見され、以来さまざまな製法が開発されて現在のような形になりました。ここでは現在、市販されているショコラの主な種類を4つ紹介します。
モールドチョコレート
型を意味するモールドチョコレートは文字通りテンパリングして液体状になったチョコレートをモールド(型)に流し、冷やし固めて作られます。同じ形のチョコレートを一度に大量に作れることがメリットです。当初は金属製の型が使われていましたが、現代ではシリコンやプラスチック製が多く使用されています。
モールドの形やチョコレートの流し方によってさまざまな種類が作れることがモールドチョコレートの特徴です。フランス語ではタブレット(”Tablet”)と呼ばれるいわゆる板チョコも、四角い形状の型を使用するモールドチョコレートの一種です。
ホローチョコレート
ホローチョコレートとは、2枚のモールドの中にチョコレートを流し、回転しながら冷やして作られるチョコレートのことです。回転させることでチョコレートが型全体にまんべんなく行き渡り、中に空洞ができることが特徴です。モールドを使うため、ホローチョコレートもモールドチョコレートの1つに数えられます。欧米ではクリスマスやイースターなどの季節にサンタクロースやウサギなどの形のホローチョコレートを飾ったり食べたりする風習があります。
エンローバーチョコレート
エンローバーチョコレートとは、素材をチョコレートで薄くコーティングしたものです。エンローバー(”enrober”)はフランス語で包むという意味です。チョコレートをかける素材としてはビスケットやウエハースがよく使われています。均一にチョコレートをかけるため、機械を使って液体状のチョコレートを垂らし、その下を金網にのせたビスケットなどをくぐらせる方法が一般的です。薄い膜で包むことで、繊細な口どけを楽しめるお菓子です。
ボンボンショコラ
ボンボンショコラとは、一口サイズのチョコレートの中に生クリームやアーモンド、キャラメルなどで作られたフィリングが入ったお菓子です。名称にショコラとつくことからわかるようにボンボンショコラはフランス語由来の言葉で、英語ではチョコレートボンボンと呼びます。お酒の入ったウイスキーボンボンもボンボンショコラの1つです。フィリングを変えることでさまざまな味を楽しめることから、ボンボンショコラの詰め合わせは贈り物などとしても人気があります。
ボンボンショコラの種類
日本でショコラという場合、ボンボンショコラを指すことが少なくありません。ボンボンショコラは主にフィリングの違いによって、さまざまな味を楽しめることが特徴です。ここではボンボンショコラに用いられる主なフィリングの種類を4つ紹介します。
ガナッシュ
ガナッシュの原料はチョコレートと生クリームです。一説によると19世紀のパリで、菓子職人が誤って溶けたチョコレートの中にミルクを入れてしまったのがガナッシュ誕生のきっかけといわれています。現代ではミルクの代わりに生クリームが使われており、ボンボンショコラだけでなくケーキやパンなどにも使われています。また、口の中で溶けるような味わいが魅力の生チョコレートは、ガナッシュを冷やして固めたものです。
プラリネ
プラリネは、ナッツ類をローストしてから砕いてペースト状にし、さらに砂糖を混ぜてキャラメリゼして作られたクリームです。多くの場合、ヘーゼルナッツやアーモンドなどが使われ、ローストしたナッツの香ばしさと食感が楽しめます。プラリネ入りのボンボンショコラは、1912年にベルギーのブリュッセルで誕生しました。以来、ボンボンショコラの定番として世界中で愛されています。
また、プラリネそのものにしっかりと味がついているため、チョコレート以外のお菓子の材料として使ったりパンに塗って食べたりといった方法で使われることもあります。
キャラメル
キャラメルは砂糖と牛乳や生クリームなどを混ぜ合わせ、煮詰めて作られます。そのままでお菓子として楽しまれることも多いキャラメルは、ボンボンショコラのフィリングとしても人気です。柔らかいソフトキャラメルはなめらかな口どけ、ハードキャラメルはザクザクとした食感を楽しめます。また、ナッツやヌガーを加えて味や食感に変化を出したものや、塩を足した塩キャラメルもあります。
マジパン
マジパンとは細かく挽いたアーモンドの粉(アーモンドパウダー)に砂糖や卵白を加えてペースト状にしたものです。小さく切ったり丸めたりしたマジパンはボンボンショコラのフィリングの定番です。
また、粘土のように柔らかいマジパンはさまざまな形に成型しやすいため、日本では主にケーキにのせる飾りとして使われています。ヨーロッパではそのままお菓子として食べたり、イースターなどにマジパンで作ったウサギやヒヨコの人形を飾ったりすることもあります。
まとめ
フランス語でチョコレートを意味するショコラは、日本ではボンボンショコラなど高級感のあるチョコレート菓子に使われることの多い言葉です。日常的に楽しむお菓子はチョコレート、特別な機会にはショコラと使い分けることもチョコレートの楽しみ方の1つです。
ショコラにはさまざまな製法があり、中でもボンボンショコラはフィリングによってさらにいくつもの種類に分けられます。自分の好みのショコラの種類やフィリングを見つければ、よりショコラを楽しめるでしょう。