市販のお菓子やビスケット、アイスクリームの原材料には「準チョコレート」が使われていることがあります。また、「チョコレート菓子」や「準チョコレート菓子」と表示された商品も広く流通しています。よく見かけるチョコレートと準チョコレートにはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、チョコレート類の定義やカカオ成分の含有量によって味にどのような違いが生じるのかについて詳しく紹介します。
チョコレート類の定義
チョコレートやそれを使った製品は、カカオ分の割合やチョコレート生地の種類によって以下の4つのカテゴリに分類されます。
・チョコレート
・準チョコレート
・チョコレート菓子
・準チョコレート菓子
なお、チョコレート生地とは原料であるカカオや乳脂肪分などをドロドロに混ぜ合わせたものです。ここではそれぞれの定義や特徴などを紹介します。
チョコレート
チョコレートとは製品重量の60%以上をチョコレート生地が占める加工品のことです。カカオ分の含有量やその他の原料の配合によって、以下の3つのタイプに分類されます。
・基本タイプ|カカオ分35%以上、水分3%以下
・カカオの代わりに乳製品を使用したタイプ|カカオ分と乳固形分の合計35%以上(そのうちカカオ分21%以上)、水分3%以下
・ミルクチョコレート生地|カカオの代わりに乳製品を使用したタイプのうち、乳固形分が14%以上
なお、カカオ分には、カカオマスやココアバター、カカオニブが含まれます。また、ココアバターの割合が18%以上であることも条件の一つです。
準チョコレート
準チョコレートは、製品重量の60%以上に準チョコレート生地が使用されているものを指します。使用される生地には2つのタイプがあります。
・基本タイプ|カカオ分15%以上、脂肪分18%以上、水分3%以下
・準ミルクチョコレート生地|カカオ分7%以上、脂肪分18%以上、乳固形分の12.5%以上、水分3%以下
なお、どのタイプの準チョコレート生地もココアバターが3%以上含まれています。カカオ含有量が少ないため、より軽い風味と食感が特徴です。
チョコレート菓子
チョコレート菓子は、ビスケットやナッツなどの異なる素材とチョコレートが組み合わさり、チョコレート生地の割合が製品全体の60%未満のものを指します。チョコレートが主成分ではありませんが、カカオ分の高いチョコレートを使用しているため、他の素材とのバランスが良く、風味の相乗効果を楽しめるのが特徴です。
準チョコレート菓子
準チョコレート菓子は、準チョコレート生地が全体の60%未満で使われているものです。カカオ含有量が少ないため、チョコレート特有の濃厚さは控えめですが、その分他の素材の味が際立ち、チョコレート以外の風味をより強く感じられるのが特徴です。
また、公正取引委員会は、消費者が製品の違いを理解しやすいように「チョコレート類」に関する表示の規則を定めています。この規則により、「チョコレート」という名前を商品に使用する場合、準チョコレート・チョコレート菓子・準チョコレート菓子の、どの分類に該当するのかを明確に表記することが義務付けられています。
チョコレートと準チョコレートの味は違う?
2つのチョコレートは、主にカカオ分の含有量で分けられています。カカオの風味をしっかり楽しみたい方にはチョコレートと表示された製品がおすすめです。ただし、カカオには苦みがあるため、含有量が多いと食べにくいと感じる方もいます。甘いものが食べたいときや、ミルクチョコのようなまろやかな味わいを楽しみたいときには準チョコレートを選ぶなど、気分や好みによって食べ分けるのも楽しみ方の1つです。
準チョコレートが販売されている理由
市販されているお菓子の中には、準チョコレートを使用しているものが少なくありません。準チョコレートまたは準チョコレート菓子が販売されている大きな理由は、低価格かつ加工しやすいため、商品の幅が広がることにあります。
原料のうち、特に高価なのがカカオです。世界的に需要が高まっていることに加えて、生産地での天候不順の影響を受けて近年カカオの価格は上昇傾向にあります。一方、準チョコレートはココアパウダーや植物油脂などでカカオを代替しているため、原材料コストを抑えられることが特徴です。
また、原材料の自由度が高い準チョコレートは、他の製品と組み合わせるのに向いています。たとえばココアバターの代わりに硬化油を加えたコーティングチョコレートは、テンパリング不要で扱いやすいためアイスやドーナツなどに使用されています。
準チョコレート製品を食べる際の注意点
ここでは、準チョコレート製品を食べる際の注意点を2つ紹介します。単独で、または他の素材などと組み合わせることで幅広く流通しているため、普段からよく食べている方も多いでしょう。特徴や注意点を理解することでより楽しめるようになります。
食べすぎは肥満につながる
準チョコレートには、カカオ成分の代わりに脂肪分や糖分が多く含まれています。カロリーも高い傾向にあるため、食べすぎによる肥満に注意しましょう。厚生労働省や農林水産省では1日あたりに嗜好品から摂取するカロリーは200kcal以下に抑えることを推奨しています。板チョコでいえば3分の1から半分程度を目安に、他の食事とのバランスを取ることが大切です。
植物油脂をチェックする
植物油脂とは、なたね油やパームオイルなど植物の実や種から採取される油脂のことです。植物油脂には悪玉コレステロールを増やすトランス脂肪酸が含まれているため、摂りすぎると心臓疾患や認知症のリスクを高めるといわれています。多くの準チョコレートにはカカオ由来のカカオバターの代わりに植物油脂が使用されています。そのため、選ぶ際は植物油脂を使用しているものを避けたり、食べる量を減らしたりするとよいでしょう。
健康を意識するなら準チョコレートよりもハイカカオチョコレート
チョコレートの中でもカカオ含有量の多いものをハイカカオチョコレートと呼びます。はっきりとした定義はないものの、カカオ成分が70%以上含まれているかが見分ける目安です。ここでは、健康を意識するならカカオ含有量の多いハイカカオ製品が良いといわれている理由を2つ紹介します。
カカオポリフェノールが豊富
カカオポリフェノールとは、カカオに含まれている成分の1つです。抗酸化物質のカカオポリフェノールには、以下のような健康効果があることが複数の研究によってわかっています。
・血圧低下
・動脈硬化予防
・肌悩み改善
・アレルギー症状の抑制
・認知機能向上
カカオポリフェノールは、カカオを加工して作られるカカオマスに含まれています。そのため、上記のような効果を得るにはカカオ分の含有量が多いハイカカオチョコレートを選ぶことが大切です。
テオブロミンが豊富
チョコレートの苦みのもとであるテオブロミンには、自律神経を調整して気分をリラックスさせたり、悪玉コレステロールを低下させたりする効果があることがわかっています。自然界においてテオブロミンは主にカカオからしか得られないため、チョコレートやココアを通じて摂取するのが主な方法です。原料としてカカオが多く使われているハイカカオチョコレートであれば健康効果を実感しやすいでしょう。
まとめ
チョコレートと準チョコレートは、原料の配合割合によって分類される製品です。カカオ成分が多く含まれているチョコレートは、しっかりとした風味を楽しめるでしょう。一方、比較的手ごろな価格で加工がしやすい準チョコレートは、ビスケットやアイスクリームなど、さまざまなお菓子に幅広く利用されています。それぞれの特性を理解し、気分やシチュエーション、好みに合わせて選ぶとよいでしょう。