美味しいだけでなく健康にもよいといわれているチョコレートには、便秘改善の効果もあります。しかし、どのチョコレートも同じように便秘に効くわけではないため、効果のある成分が多く含まれる種類を選ぶことがポイントです。
当記事ではチョコレートに含まれる便秘改善に役立つ成分や、食べる際の注意点などについて紹介します。また、チョコレートと合わせて食べたい便秘に効く成分も解説します。
チョコレートに含まれる成分が便通改善に役立つ
チョコレートは便通を良くして便秘解消につなげる効果があるといわれています。ここでは具体的に便通改善に役立つチョコレートの成分を2つ紹介します。
カカオプロテイン
カカオプロテインとは、カカオに含まれるタンパク質の一種です。カカオプロテインの一部は難消化性の性質を持っているため、摂取後に小腸で消化吸収されません。大腸まで届いたカカオプロテインは腸内細菌のエサとなっておなかの調子を整えたり、便のかさを増やしたりするといわれています。
厚生労働省の調査によれば、20代・30代の若い女性の5〜6人に1人はやせ傾向にあります。やせ気味の人はそもそも食べる量が少ないことが便秘につながっているため、便のかさを増やすカカオプロテインは便秘改善に効果的です。
リグニン
チョコレートの主原料であるカカオには、不溶性食物繊維のリグニンが多く含まれています。不溶性食物繊維とは、水に溶けにくい性質を持つ食物繊維のことです。リグニンは他の不溶性食物繊維と比べても消化されにくいため、約80%が便となって排出されるといわれています。
大腸の中で水分を吸収して膨らむ性質が、リグニンが便秘改善に役立つ理由です。便をかさ増しするだけでなく、大腸を刺激して便意を催させる効果もあります。
便秘改善目的でチョコレートを食べるときの注意点
チョコレートの種類によって、期待できる効果は異なります。また、あくまでも嗜好品であるため、チョコレートの食べ過ぎはおすすめできません。ここでは便秘改善のためにチョコレートを食べるときの注意点を2つ紹介します。
ハイカカオチョコレートを選ぶ
便秘改善を期待できる成分が多く含まれているのはハイカカオチョコレートです。ハイカカオチョコレートの定義はないものの、カカオの含有量70%以上が目安です。カカオ含有量の低いチョコレートには乳脂肪分や砂糖などが多いため、便秘改善効果はそれほど期待できません。特に製造過程でカカオマスが取り除かれているホワイトチョコレートの便秘改善効果は、ハイカカオチョコレートよりも低いでしょう。
食べすぎによるカロリーオーバーに気を付ける
チョコレートに含まれる成分の多くは脂質と糖質です。便秘改善効果があるとはいえ、食べすぎはカロリーオーバーにつながります。カカオ含有量の多いハイカカオチョコレートも同様です。そもそも原料のカカオには脂質が多く含まれています。そのため、ハイカカオチョコレートは他のチョコレートの種類と比べて乳脂肪分や糖分が少ない傾向にある一方で、カロリーが低いわけではありません。
便秘に効くといわれている成分
カカオプロテイン、リグニン以外にも便秘に効くといわれている成分があります。ここでは6つの成分を紹介します。チョコレートと合わせて食べることで、より高い効果を期待できるでしょう。
水溶性食物繊維
水溶性食物繊維とは、水に溶けやすい性質を持つ食物繊維のことです。水に溶けるとゲル化して便を軟らかくしたり、かさを増やしたりします。また、腸内細菌のエサとなって善玉菌を増やす効果もあるため、腸内環境改善にも貢献します。
以下は水溶性食物繊維の多い食品の例です。
・わかめ
・昆布
・りんご
・ごぼう
水溶性食物繊維は、海藻類や熟した果物などに多く含まれています。
不溶性食物繊維
食物繊維の中でも水に溶けにくい性質を持つものが不溶性食物繊維です。水分を吸収して膨らむ性質があるため、便の量を増やしたり、大腸を刺激して蠕動運動を促したりする効果があります。
不溶性食物繊維は以下のような食品に多く含まれています。
・玄米
・しいたけ
・さつまいも
・じゃがいも
不溶性食物繊維が多いのは、キノコ類やイモ類です。特にイモ類を食べることによって腸管内で発生したガスは、大腸を刺激するため便秘改善の効果が期待できます。
脂質
三大栄養素の1つである脂質に含まれる脂肪酸には、大腸を刺激して便秘を改善させる効果が期待できます。また、腸内の滑りを良くして便通を促す役割もあります。カロリーが高いため、特にダイエット中の方は脂質を取らないようにしているかもしれません。しかし、便秘改善のためには適度に取り入れるほうがよいでしょう。
以下は脂質の多い食べ物の例です。
・オリーブオイル
・チーズ
・肉の脂身
・ナッツ
脂質はさまざまな食べ物に含まれていますが、良質なものを摂ることを意識しましょう。
オリゴ糖
糖質の一種であるオリゴ糖は、人の胃や小腸で消化されにくい性質を持っています。消化されなかったオリゴ糖は大腸まで届き、腸内細菌、特にビフィズス菌のエサとなるため腸内環境を整える効果があります。
以下はオリゴ糖の多い食品の例です。
・たまねぎ
・アスパラガス
・はちみつ
・大豆
消化されにくいことからオリゴ糖には血糖値や中性脂肪値が上がりにくく、虫歯にもなりにくい性質があります。
乳酸菌
糖から乳酸を作り出す性質を持つ細菌を乳酸菌と呼びます。善玉菌の一種である乳酸菌には腸内を酸性に保ち、悪玉菌の繁殖を抑えて腸内環境を整える役割があります。なお、善玉菌とは体によい働きをする細菌、悪玉菌とは体に害を与える細菌のことです。乳酸菌の摂取により善玉菌が増えると腸が活性化され、便秘解消につながります。
乳酸菌は発酵食品に多く含まれています。
・ヨーグルト
・チーズ
・漬物
・味噌
ビフィズス菌
ビフィズス菌は大腸内で活躍する善玉菌の一種です。実は人の大腸にいる善玉菌のうち、99.9%を占めているのがビフィズス菌です。ビフィズス菌は乳酸菌と同様に糖から乳酸を作り出すだけでなく、酢酸も生成します。乳酸よりも強い殺菌効果を持つ酢酸によって、乳酸は腸内で悪玉菌が増えるのを抑えています。
以下はビフィズス菌が多く含まれる食品の例です。
・ヨーグルト
・キムチ
・ぬか漬け
・乳酸菌飲料
ビフィズス菌はオリゴ糖や食物繊維をエサとするため、バナナやたまねぎなどを合わせて摂るのもよいでしょう。
チョコレートのそのほかの健康効果
チョコレートには便秘改善以外にも、以下のようなさまざまな健康効果があることがわかっています。
・動脈硬化予防
・高血圧予防
・肌の老化防止
・ストレス解消
・疲労回復
チョコレートの健康効果は、主にカカオポリフェノールとテオブロミンによるものです。抗酸化作用のあるカカオポリフェノールは、悪玉コレステロールの酸化を防いで動脈硬化や高血圧を予防します。また、活性酸素を抑制するため肌のたるみやシワなどの悩みも改善されるでしょう。
香りを嗅ぐだけでリラックスした気分になることもチョコレートの効果です。チョコレートに含まれるテオブロミンには、自律神経を整える効果があります。また、血流を良くするため、疲労回復にも役立ちます。
▼関連記事
チョコレートは美肌とダイエットのお供?気になる美容成分を解説
チョコレートの正しい食べ方は?健康で注意したい組み合わせを解説
まとめ
タンパク質の一種であるカカオプロテインや不溶性食物繊維のリグニンを含むチョコレートには、便秘改善効果があるといわれています。これらの成分は原料であるカカオに含まれているため、便秘にお悩みの方はハイカカオチョコレートを選ぶのがおすすめです。
便秘改善には食物繊維や脂質、オリゴ糖などの摂取も効果的です。チョコレートには食物繊維のほかに脂質も含まれています。毎日の食生活にチョコレートを取り入れてみてはいかがでしょうか。