カカオ豆から取れるカカオ成分はチョコレートの主原料です。風味や味、見た目に大きく影響するため、含まれているカカオ成分の違いによってダークチョコレートやミルクチョコレートといった種類に分けられることもあります。
当記事ではチョコレートの原材料やカカオ成分の違いによる分類、カカオ含有量による風味の違いなどについて紹介します。風味の違いや健康効果を押さえ、自分の好みのチョコレートを見つけましょう。
チョコレートはカカオ豆を主原料に作られているお菓子です。ただし、カカオ豆は苦みが強くそのままでは食べにくいため、製造過程で砂糖や乳製品を加えるのが一般的です。ここではチョコレートの製造に主に使用されている原料について紹介します。
チョコレートの主原料はカカオ豆です。名前とは異なり、実際には豆ではなくカカオの木になる実から種を取り出したものをカカオ豆といいます。チョコレートを作るにはカカオ豆を他の形に加工する必要があるため、チョコレートの原材料表記ではカカオニブやカカオリカー、カカオマスなどの名称を見ることが多いでしょう。カカオニブはカカオ豆をローストして外皮を除去したもの、カカオリカーはカカオニブをすりつぶして液状にしたもののことです。固形状のカカオリカーはカカオマスと呼ばれます。
カカオニブやカカオマスといったカカオ豆由来の原料は非常に苦いため、甘みをつけて食べやすくする砂糖はチョコレートに欠かせません。一般的なグラニュー糖のほか、商品によってはきび砂糖やココナッツシュガー、アガベシロップといった甘味料が使われることもあります。
生乳を乾燥させて粉状にしたミルクパウダーは粉乳とも呼ばれ、パンやお菓子などに広く使われている製品です。いわゆるミルクチョコレートやホワイトチョコレートを作る際に使用される原料で、まろやかな味わいを生み出します。ただし、ダークチョコレートのように中には乳製品を含まないチョコレートもあります。
バニラは独特の甘い香りが特徴的な熱帯アメリカ原産の植物です。香りづけに使用される香料は、熟す前の実から採取されます。ただし、天然のバニラは非常に希少で高価なため、多くの製品には人工的に作られた香料が使われています。
レシチンは乳化剤とも呼ばれる食品添加物の1つです。レシチンには相反する性質を持つ水と油を混ぜて安定させる効果があるため、チョコレートをなめらかにしたり扱いやすくしたりする目的で使用されます。日本では大豆やアブラナなどの植物や卵黄に由来するレシチンが一般的です。
チョコレートは原料と使われるカカオ豆由来の素材の種類や量によって、主に3つの種類に分けられます。ここではそれぞれの種類に使用されているカカオ成分や特徴などについて解説します。
カカオ分が比較的高く乳製品が含まれていないものはダークチョコレートと呼ばれます。カカオマスの含有量は40~60%が一般的です。ただし、明確な定義はないため、少量の乳製品を含むこともあります。また、カカオ分が70~90%と特に多く、ハイカカオ(高カカオ)といわれるものもダークチョコレートの一種です。
なお、カカオ分が高いため着色料を使わない場合は色が暗くなることが名前の由来です。苦みの強い味わいから、ビターチョコレートと呼ばれることもあります。
名前の通り、乳製品を含むのがミルクチョコレートです。明るい茶色から濃い茶色まで、乳製品の含有量によって見た目が異なります。全国チョコレート業公正取引協議会の定めた規約によると、日本国内では以下の基準を満たす場合のみミルクチョコレートとして表示・販売が可能です。
・カカオ分21%以上、乳固形分14%以上
そのまま食べられるタブレット型から菓子や製菓・製パン材料などとしても使われています。
見た目が白いことに加えて、比較的甘みが強いのがホワイトチョコレートの特徴です。カカオパウダーやカカオマスの代わりに、カカオ豆由来の原料の中でも脂肪分を中心とするココアバターを用いていることが茶色くならない理由です。また、苦みを持つココアパウダーを含んでいないため、他の種類のチョコレートよりも甘みを強く感じやすい特徴があります。色が白くて着色しやすく、かつ苦みが少ないため、着色したり他の素材と組み合わせたりするのにも向いています。
カカオ含有量の違いはチョコレートの風味に影響を与えます。含有量が多いほどカカオの風味が感じられる一方で、含有量の低い製品は他の素材との組み合わせを楽しめるのが魅力です。好みや食べるシーンに合わせて選ぶとよいでしょう。
カカオの風味を楽しめるのがカカオ分70%以上のチョコレートです。カカオの産地などの違いを味わいたい方にも向いています。ただし、苦みが強いことも高カカオチョコレートの特徴です。苦みは原料のカカオ豆に由来するため、一般的にカカオ分が高いほど苦い傾向にあります。慣れていない場合は食べにくいと感じる方もいるでしょう。特にカカオ分が90%以上になるとほとんど甘みはありません。カカオ分が70%程度のものから80%以上のものまで食べ比べて、好みの味を見つけるのも楽しみの1つです。
カカオ分50~60%は程よい苦みと甘みが感じられるため、チョコレート愛好家から甘いものが苦手な方までおすすめです。ミルクチョコレートであれば乳製品由来のまろやかさや甘みも感じられるでしょう。ナッツやドライフルーツなどの素材と組み合わせたり、香料などでフレーバーをつけたりすることで、カカオの風味を引き立たせた商品もあります。商品の種類も多いため、いろいろな味を試したい方にも向いています。
カカオ分30%以下の製品はカカオの風味が控えめな分、甘みを強く感じるものが多い傾向にあります。チョコレートを食べ慣れていない方や甘いものが好きな人に向いています。一般に販売されている製品には「準チョコレート」または「準チョコレート菓子」と表示されていることが多いでしょう。ビスケットやアーモンド、ピーナッツなどの素材と組み合わされているものの中でも、カカオ分が低い製品は苦みが少なく、子どもから大人まで食べやすいのが特徴です。
最近、カカオ分が多く含まれている高カカオチョコレートの健康効果が注目されています。健康によいといわれている理由の1つが、血糖値の上がりやすさを示すGI値が低いことです。高カカオチョコレートには糖分や脂肪分が少ないため、食後の血糖値の上昇が緩やかです。
また、カカオに含まれるポリフェノールには抗酸化作用があるため、摂取することで血圧低下や血行促進、動脈硬化予防、腸内環境改善などの効果が期待できます。
ただし、チョコレートには脂肪分が含まれているため、食べすぎには注意が必要です。1日あたり200kcalを目安に、適度に楽しむとよいでしょう。
チョコレートは主原料のカカオ豆を加工したものに、砂糖やミルクパウダー、レシチンなどを加えて作られます。カカオ豆の加工品にはカカオマスやココアパウダー、ココアバターなどがあり、基本的にはカカオ分が多いほど色が濃く、苦みの強い味になります。また、色の白いホワイトチョコレートもココアバターを使用しているためチョコレートの一種です。
カカオ分が70%以上のチョコレートは高カカオと呼ばれ、健康効果があるといわれています。食べすぎに注意しながら楽しみましょう。