妊娠中はチョコレートの摂取を控えたほうがよいと聞いたことがあるかもしれません。しかし、摂取することで得られるメリットもあります。この記事では、妊娠中にチョコレートを食べる際の注意点やメリットについて紹介します。
妊娠中は、胎児に影響のある食べ物は摂取を控えなければなりません。生ものやカフェインのほか、レバーも控えたほうがよい食品に挙げられます。ただし、栄養価も高いため、摂取する時期や量に注意すれば問題ありません。ここでは、摂取を控えたほうがよい食べ物とその理由について解説するため、今後の参考にしてみてください。
食中毒菌により胎児が危険な目に遭う可能性があるため、妊娠中に生ものの摂取は控えておきましょう。刺身やステーキなど、加熱が不十分な肉や魚は食中毒にかかる危険が高い食べ物です。妊娠中は非妊娠時よりも免疫力が落ちているため、食中毒にかかるリスクが高まっています。食中毒菌であるリステリア菌や寄生虫のトキソプラズマは、胎児に感染すると流産や死産する可能性があるため、妊娠中は生ものの摂取を控えなければなりません。
妊娠中は、カフェインを含んだ飲み物の摂取を控えたほうがよいでしょう。カフェインは流産や低体重児になるリスクがある成分です。カフェインに含まれる血管収縮作用は、胎児に酸素を届けにくくします。さらに、胎児はカフェインの成分を代謝しづらいため、成分が排出されず長い時間体内に残ります。その結果、流産や低体重児になるリスクが高まるのです。チョコレートにもカフェインが含まれているため、摂取を控えたほうがよいといわれているのです。
妊娠中は少量でもアルコールの摂取を控えなければなりません。妊娠中にアルコールを摂取すると、胎児にもアルコールの成分が届きます。胎児はアルコールを分解できず、その結果、胎児性アルコール症候群と呼ばれる障害を持って産まれるリスクが高まるのです。胎児性アルコール症候群は、奇形や発育不全、知的障害などさまざまな症状が現れる障害です。少量のアルコールでも発症するリスクがあるため、妊娠発覚後はアルコールの摂取を控えましょう。
妊娠中はレバーの量や食べる頻度に注意しましょう。レバーは鉄分豊富なため、妊娠中の鉄分不足を補ってくれる食材の1つですが、ビタミンAも豊富に含まれています。妊娠中にビタミンAを多量に摂取すると、胎児の目や耳の奇形につながる可能性があります。そのため、妊娠中にレバーを食べる際は、レバーの量や食べる頻度に注意してください。しかし、レバーは鉄分不足解消にもなる食材のため、1週間に1回程度の摂取を目安にしてください。
チョコレートにもカフェインが含まれているため、妊娠中は摂取を控えたほうがよいといわれています。しかし、食べてはいけないわけではありません。カカオの含有量やチョコレートの摂取量などに注意すれば、妊娠中であってもチョコレートを食べられます。ここでは、妊娠中にチョコレートを摂取するときの注意点について紹介します。
妊娠中に選ぶチョコレートは、カカオの含有量が少ないものを選びましょう。チョコレートのカフェインは、チョコレートの原材料であるカカオマスに含まれています。そのため、カカオの含有量が多いダークチョコレートよりも、カカオの含有量が少ないミルクチョコレートのほうが妊娠中には適しています。
カフェインの量に注意しチョコレートを選びましょう。ミルクチョコレート25gに含まれるカフェイン量は7㎎程度で、ダークチョコレートの場合は21㎎です。妊婦さんが摂取してもよいカフェイン量は1日200㎎~300㎎といわれているため、1日の摂取量がこの許容量に収まるのであれば摂取しても問題ありません。
ミルクチョコレートやホワイトチョコレートは高カロリーなため、食べる際は量に注意しましょう。この2つのチョコレートは砂糖やミルクなどが混ぜられているため、ダークチョコレートよりも高カロリーです。そのため、食べる量に注意しなければ体重増加や糖尿病などのリスクを高めてしまいます。食べる際は適量を守りましょう。
妊娠中は虫歯や歯周病にかかりやすいため、食後は丁寧に歯を磨きましょう。妊娠中はホルモンバランスの影響で唾液の分泌量が減り、虫歯や歯周病にかかりやすい状態です。そのため、チョコレートを食べて虫歯や歯周病にならないために、食後の歯磨きは丁寧に行いましょう。
妊娠中にチョコレートを摂取する際は、さまざまなことに注意しなければなりません。しかし、チョコレートを摂取することで得られるメリットもあります。チョコレートに含まれる成分が、妊娠中に不足する栄養素やトラブルをサポートしてくれる働きがあるのです。ここでは、チョコレートを摂取することで得られるメリットについて解説します。
妊娠中はビタミンやミネラルが不足しがちですが、不足した栄養素をチョコレートが補ってくれるでしょう。妊娠中は胎児に栄養がいくため妊婦さんは栄養が不足しやすく、とくに、鉄分不足になる妊婦さんが多くいます。チョコレートの原料であるカカオマスには、鉄分や葉酸、ビタミンなど妊娠中に摂取したい栄養素が多く含まれています。そのため、妊娠中はチョコレートを適量摂取することで不足しがちな栄養素を美味しく補給できるのです。
チョコレートが妊娠中の便秘改善に役立つ場合があるでしょう。妊娠中はホルモンバランスの影響や子宮が大きくなることなどで便秘に悩む妊婦さんが多くいます。チョコレートの原材料であるカカオマスには、リグニンと呼ばれる食物繊維や便の量を増やしてくれるカカオプロテインなど、腸内環境を整える成分が豊富に含まれています。そのため、チョコレートを摂取すると、カカオの成分で腸内が整い、便秘解消につながる場合があるのです。
気分を落ち着かせてくれる成分がチョコレートには含まれています。チョコレートに含まれるテオブロミンは自律神経に働きかける成分で、気分を落ち着かせる作用があります。妊娠中はホルモンバランスの変化や体の変化により妊娠前よりもストレスを感じやすく、気分の落ち込みを感じる人も少なくありません。そんな気分の落ち込みやストレスを軽減できる食品がチョコレートです。摂取量を守りながら食べてリラックスしましょう。
妊娠中は食べ物の制限が多く、さまざまなことに配慮しなければなりません。甘いものを食べたいとき、お菓子はカロリーや栄養価が気になることもあります。チョコレートは、甘いものを食べたい気持ちと栄養価どちらも満たしてくれる存在です。摂取量とカフェイン量に注意しながら取り入れることで、妊娠中のつらさを癒してくれるでしょう。