バレンタインデーは、大切な人へ愛や感謝を伝える特別な日として世界中で愛されているイベントです。日本のバレンタインは独自に進化しています。本記事では、バレンタインの歴史を解説するとともに、日本のバレンタインの歴史についても紹介します。大切な人に日頃伝えられない感謝の気持ちを、この特別な日に表現してみてはいかがでしょう。
バレンタインは、愛や感謝を伝える特別な日として長い期間人々に愛されてきました。時代とともに変化しながら、現在でも人々に愛されている日に変わりはありません。しかし、バレンタインが始まった歴史を知っている方は少ないでしょう。ここでは、バレンタインの歴史を詳しく解説していきます。
バレンタインの始まりは、1700年以上前のローマ帝国時代までさかのぼります。当時、ローマ皇帝であったクラウディス2世は厳しい政策を実施していました。彼は、戦地に向かう兵士たちの士気を維持するために、結婚を禁止したのです。そのような状況から多くの若者たちを救ったのが、聖ウァレンティヌスです。
ウァレンティヌスは、秘密裏に恋人たちの結婚を手助けをします。しかし、彼の行動はクラウディスの知るところとなり、最終的にクラウディスは処刑されます。西暦269年2月14日はウァレンティヌスの命日です。彼の行動は、愛の象徴として人々の心に深く刻まれ、以降毎年2月14日を「聖ウァレンティヌスの日」として人々が祈りを捧げるようになりました。バレンタインは、愛のために命をかけた一人の聖人の行動から始まりました。
バレンタインは、古代ローマの祭りである「ルペルカリア祭」と深い関係があるともいわれています。ルペルカリア祭は、冬至の時期に行われる祭りの1つであり、男女の出会いの機会をつくる祭りとして知られています。この祭りは、若者たちが神殿で羊の皮を使った儀式であり、参加者は自由に異性と交流していました。
しかし、ローマ帝国にキリスト教が広まるにつれて、異教の祭りに対する批判が高まります。
5世紀に入ると、ローマ教皇のグラシウス1世は、ルペルカリア祭の前夜祭である2月14日を、聖ウァレンティヌスのための祝日と定めました。この決定は、当時人気のあったルペルカリア祭を形式的に継承しつつ、内容をキリスト教的な意味合いに変更する狙いがあったと考えられます。バレンタインは「ルペルカリア祭」の要素を取り入れながら、愛を祝う日へと変化を遂げました。
バレンタインが恋人へプレゼントする日として広まったのは、14世紀頃です。
この時期、2月14日が「ルペルカリア祭」から「バレンタイン」としての意味をもつようになります。
とくにイギリスやフランスでは、愛を祝う日として広まり、恋人たちが互いに贈り物をする習慣が定着します。プレゼントの内容は、手紙や詩、花などさまざまです。その中でも愛のメッセージを込めた手紙は、恋人たちにとって愛を伝える大切な手段となりました。
また、詩人チョーサーやシェイクスピアの作品にもバレンタインが登場し、当時の人々がこの日を大切にしていたことが伺えます。
世界で行われているバレンタインが日本に入ってくるのは、いつ頃なのでしょう。また、日本のバレンタインは広告やマーケティングの影響を受けて、独自の特徴をもっています。ここからは日本におけるバレンタインの歴史を解説します。
日本にバレンタインが伝わったのは、20世紀頃です。1956年、第二次世界大戦後に初めて登場し、新聞に「バレンタインセール」が掲載され始めます。日本のバレンタインは宗教的な意味は薄く、流通業界や製菓業界が販売促進を図るための試みがあったようです。
バレンタインが登場し始めた初期は、コスメや服などもプレゼントとして考えられており、恋愛のイベントではなく、家族や友人へ贈り物をする日として浸透していました。1960年代は、女性から男性へ贈り物をする風習はなく、男女問わず感謝や友情を表現する日としての意味合いが強かったのです。
日本でバレンタインが盛んになったのは、昭和30年代後半です。昭和40年代に入ると、女性が男性にチョコレートを贈るスタイルが定着しました。
昭和33年に、都内の百貨店が開催したバレンタインセールで「バレンタインにはチョコレートをプレゼントしよう」という広告やキャンペーンを打ち出します。また、昭和35年に森永製菓では、マスコミを通してバレンタイン企画を行い、チョコレートの販売を促進します。各企業がハート形のチョコレートを販売したのもこの時期です。このような企業やマスコミの働きで、人々もバレンタインを意識していくようになったのでしょう。
バレンタインに女性から男性に贈り物をする風習は、日本と韓国特有のものです。国によって過ごし方には違いがありますが、多くの国は、男性から女性に贈り物をするのが一般的です。また、プレゼント交換する場合もあります。贈る物は、チョコレートではなくメッセージカードや花束、ジュエリーを贈る方が多いようです。
3月14日のホワイトデーは、「贈り物をもらったらお返しをする」という日本特有の習慣から生まれました。バレンタインにプレゼントをくれた相手に対して、感謝の気持ちを込めてお返しをするのが、日本では一般的です。一方、海外ではバレンタインのお返しは
とくにありません。
しかし、日本で生まれたホワイトデーが、今では中国や韓国などにも広がりを見せているようです。
現在の日本にとって、バレンタインは国民的なイベントです。毎年2月14日が近づくと、街中はチョコレートやスイーツの特設コーナーで賑わい、さまざまな贈り物が展開されています。贈る物は、社会の変化に合わせて年々アップデートされており、贈る相手にも変化が起きています。
従来は、「本命チョコ」や「義理チョコ」だけでした。しかし、現在は性別に関係なく友人同士で贈り合う「友チョコ」、自分へのご褒美として購入する「マイチョコ」、家族に贈る「ファミチョコ」などがあります。とくに近年注目されているのが、好きなアイドルやキャラクターに贈る「推しチョコ」です。直接会ってチョコレートを渡せない場合でも、推しグッズと一緒にチョコレートの写真を撮って、SNSに投稿して楽しむスタイルが広がっています。
バレンタインは、恋愛のイベントにとどまらず、友情や自己愛、さらには趣味を共有する場としても広まっています。
バレンタインは1人の聖人が、若者たちの愛を守るために命をかけたことが始まりです。彼の愛への思いは昔から現在にかけて受け継がれ、恋人だけでなく、家族や友人など大切な人に感謝や愛を伝える特別な日となっています。20世紀に日本でもバレンタインが始まり、チョコレートをプレゼントする習慣が定着しました。また、お返しをする「ホワイトデー」も日本特有の文化として生まれました。
現在のバレンタインは、「本命チョコ」や「義理チョコ」だけでなく、「友チョコ」「マイチョコ」「ファミチョコ」「推しチョコ」などプレゼントする相手はさまざまです。大切な人と一緒にバレンタインを楽しみ、日頃言えない愛や感謝を伝えてみてはいかがでしょう。