亜鉛は身体に必要不可欠なミネラルの1つで、主に牡蠣や豚レバーといった魚介や肉類に含まれています。しかし実は、亜鉛はチョコレートにも多く含まれているのをご存じでしょうか。今回は亜鉛不足の症状やチョコレートに含まれる亜鉛について解説します。
亜鉛が不足しているときはチョコレートがおすすめ
一口にチョコレートといっても、カカオ含有率によってミルクチョコレートやビターチョコレートなど幅広い種類が存在します。そのなかでも健康によいといわれるのは「ダークチョコレート」です。ダークチョコレートはカカオ分が50〜90%含まれているチョコレートの総称で、抗酸化作用が期待できるフラボノイドや各種ミネラルが豊富に含まれています。
チョコレートの貴重な栄養素はカカオ成分に含まれているため、カカオ成分の割合が大きいチョコレートほど、高い健康効果が見込めるでしょう。
亜鉛が不足すると表れる症状
まずは、亜鉛が不足する際にどんな症状が表れるのか解説します。下記の症状は亜鉛以外の栄養が不足したり、なんらかのケガ・病気にかかっても引き起こりますが、複数該当する場合は亜鉛不足を疑ってよいかもしれません。
味覚障害
亜鉛不足で表れやすいといわれるのが「味覚障害」です。体内の亜鉛が不足すると、味を感じる「味蕾」と呼ばれる細胞の機能が低下し、味の感じ方が変化します。具体的には普段食べているものを変な味に感じたり、苦みを余計に感じたりするようです。
貧血
亜鉛は体内の赤血球や増殖やタンパク質の合成に使われる栄養素で、不足することで血液が不足する可能性もあります。亜鉛不足による貧血を「亜鉛欠乏性貧血」と呼び、余計な疲労感や立ちくらみといった症状と一緒に表れるそうです。
皮膚炎
皮膚のターンオーバーには「ATP」と呼ばれるエネルギーを分解する酵素が必要で、この酵素を働かせるには亜鉛が欠かせません。そのため、亜鉛が不足すると皮膚のターンオーバーは進まず、炎症を起こしてしまうのです。とくに体内の亜鉛は皮膚に20%ほど存在しているといわれるため、不足した場合に皮膚へ影響しやすいそうです。
食欲低下
亜鉛は胃腸の粘膜にも影響を与える栄養素であるため、不足することで胃腸の機能が低下します。普段より消化液からの保護が弱くなるため、食欲の低下や下痢を起こしやすくなるのです。
成長障害
亜鉛が不足すると身体の成長に必要な各種ホルモン類の分泌が滞ります。そのため、食べ盛りであるお子様の亜鉛が不足すると身長が伸びにくくなったり、成長が遅れたりします。長期にわたる亜鉛不足だと低身長のまま幼少期を終えてしまう可能性もあるため、お子様の亜鉛不足にはとくに気をつけなければなりません。
免疫機能の低下
亜鉛には免疫細胞を活性化させて感染症のリスクを減らす効果があります。そのため亜鉛が不足すると普段よりも感染症にかかりやすくなり、病弱な体質に変化してしまうのです。細菌やウイルスへの抵抗力も弱まってしまうため、感染症が多い冬場のリスクが上がってしまいます。
ダークチョコレートがもたらす効果
ここからは、ダークチョコレートの含まれる栄養素が身体にもたらす効果について解説します。ダークチョコレートは亜鉛を始めとしたミネラルや健康によいとされる成分が多く含まれる食材です。一般にチョコレートは「糖質」や「脂質」などエネルギー面に注目されがちですが、ダークチョコレートの場合はカロリーを抑えながら不足しがちな栄養素を補えます。
血糖値を安定させる
血糖値の上昇には体内で分泌される「インスリン」が深くかかわっています。ダークチョコレートに含まれる「ポリフェノール」にはインスリンの過剰な反応を抑えて糖の吸収を和らげる効果があり、血糖値の改善につながるといわれるのです。
ただしこのポリフェノールはミルクチョコレートやビターチョコレートといった糖分や乳成分の多いチョコレートにはほとんど含まれておらず、ダークチョコレートでのみ十分な量を摂取できます。
ミルクチョコレートとビターチョコレートには微量のポリフェノールこそ含まれているものの、糖質の量が多いためにかえって血糖値をあげかねません。健康を気にしてチョコレートを摂取するならカカオの割合が多いダークチョコレートを選択しましょう。
心血管の健康改善
ダークチョコレートに含まれるカテキン・フラバノール・エピカテキンといった成分には、血管系にかかわる以下の効果があるといわれています。
・血液の凝固の抑制
・血管内側の細胞の活性化
・血圧の低下
これらの効果は心筋梗塞を始めとした心疾患のリスクを下げるのに効果的とされ、国内外でもダークチョコレートが血管に与える影響には注目が集まっています。また、前述したポリフェノールにも血圧の低下や血小板の凝固を抑える効果が期待されているそうです。
気分の改善
カカオに含まれる栄養素は直接的・間接的に食べた人の精神によい影響を与えるといわれています。例えば、チョコレートの甘みやなめらかな舌触りを感じることによる快感は、摂取した人に幸福感をもたらします。海外の論文では、ダークチョコレートが抑うつに効果があるとされる実験結果が存在するそうです。
また、ダークチョコレートに含まれるポリフェノールは身体の炎症を抑える抗酸化作用があるといわれるため、ストレスの緩和に効果的です。
チョコレートを食べるときの注意点
いくらダークチョコレートが健康によいからといって、むやみに食べればいいわけではありません。過度な栄養はときに毒へ転ぶ可能性があるため、ダークチョコレートを食べるときは適切な範囲にとどめなければなりません。ここからは。ダークチョコレートを食べるときの注意点について解説します。
食べすぎに注意
ダークチョコレートはミルクチョコレートやビターチョコレートよりも低カロリーとはいえ、30gあたりおよそ180kcalある高カロリー食品です。食べ過ぎれば肥満につながりますし、健康によいとされる亜鉛やポリフェノールも摂取し過ぎるとかえって健康を害してしまいます。
また、普段の3食の食事に取り入れるよりは、間食として食べる場合がほとんどです。仮に3食の食事で栄養バランスが整っているなら、無理にダークチョコレートを食べる必要はありません。ダークチョコレートの摂取はあくまで栄養補助的な役割と認識するとよいでしょう。摂取量の目安としては、1日あたり20g前後にしておいたほうが無難です。
片頭痛に注意
片頭痛をお持ちの方だと、ダークチョコレートの摂取でかえって症状が悪化する可能性があります。チョコレートにはヒスタミン・チラミンといった成分が含まれており、これらは偏頭痛を引き起こしやすいといわれているのです。
そもそも片頭痛は脳血管が拡張されることで起こりやすいといわれるため、血管を広げる効能ある成分はNGとされています。ダークチョコレートにはヒスタミン・チラミン・フェニルアラニンが多く含まれているため、カカオ成分の多いチョコレートほど片頭痛を起こす可能性が高まります。
金属アレルギーに注意
チョコレートには重金属の類いが微量ながらも含まれており、強い金属アレルギーの方だとアレルギー反応を起こすことがあります。亜鉛のほかにもニッケル・クロム・銅・マンガンといった金属成分が存在しているため、これらの金属に弱い方は注意しましょう。
不眠症の人や妊娠中の人は注意
ダークチョコレートにはカフェインが含まれているため、不眠症でお悩みの方や妊娠中の場合は摂取を控えましょう。微量であれば摂取しても問題ないとされていますが、不眠症の方なら午後3時以降、妊娠中の方は1日200g以内に抑えるのを推奨します。
ダークチョコレートには亜鉛が豊富に含まれている
ダークチョコレートには糖質や脂質以外の栄養素が多く含まれており、健康によい食品として注目が集まっています。
とくに近年は健康効果を謳ったハイカカオチョコレートも多数ラインナップしているため、コンビ二やドラッグストアでも手軽に入手できます。普段の食生活で亜鉛を始めとしたミネラル成分やポリフェノールが足りていない方は、適量を意識してダークチョコレートを摂取するとよいでしょう。