定番のお菓子「チョコレート」ですが、近年はチョコレートのカカオに含まれるさまざまな成分が、健康に効果があると注目を集めているそうです。今回は、チョコレートの持つ栄養とその効果について解説します。
チョコレートに含まれる栄養成分と期待できる効果
まずは、チョコレートに含まれる主な栄養成分と、それぞれの栄養成分に対してどのような健康効果が期待できるのか確認しましょう。なお、健康によいといわれているチョコレートは「ビターチョコレート」や「ダークチョコレート」など、カカオ成分の多いタイプです。
基本的に、健康に効果がある成分はカカオに含まれており、ビターチョコレートやダークチョコレートなど、カカオの割合が多いほど健康効果が高まります。ミルクチョコレートでも多少の健康効果は見込めますが、ビターチョコレートやダークチョコレートに比べて成分の含有量は少なくなります。
カカオポリフェノール
ポリフェノールとは、植物由来の渋みや苦みを持つ成分のことです。チョコレートに含まれるポリフェノールには、活性酸素を除去して老化防止や動脈硬化予防につながる「抗酸化作用」があることで知られています。近年はがん予防やストレス緩和の効果も確認されているそうです。
ただし、ポリフェノールはいくらでも摂ってよいわけではなく、1日の摂取目安量は一般に1000mg〜1500mg程度に収めることが推奨されています。ポリフェノールには鉄分の吸収を阻害する作用があり、食べ過ぎると貧血を引き起こす可能性があります。ポリフェノールはチョコレート以外にもコーヒーやワインといった飲料にも多く含まれているため、過剰摂取には気をつけなければなりません。
食物繊維
糖質や脂質が多いイメージの強いチョコレートですが、実は食物繊維の一種である「リグニン」が多く含まれています。食物繊維は便通の改善やぜんどう運動の活発化により、腸内環境の改善に効果的です。腸内環境が改善されると肌荒れ改善にもつながりやすいため、間接的ではありますがチョコレートを摂取することで肌にもよい効果をもたらすでしょう。
テオブロミン
チョコレートにはカフェインに近い「テオブロミン」という成分が多く含まれています。テオブロミンには覚醒効果やリラックス効果が期待できるといわれており、また自律神経を整える働きもあるそうです。ただし、カフェインに近い覚醒作用があるため、不眠症の方や妊娠中の方は摂取量を控えなければなりません。
脂肪酸
チョコレートの成分の大半は脂質と糖質でできています。とくにミルクチョコレートよりもビターチョコレートやダークチョコレートは脂質の成分が多いため、効果的に脂質を取るのにおすすめです。
日々の食事で脂質の量が不足している場合は、チョコレートを間食にとることで効果的に脂質を摂取できるでしょう。適量の脂質は日々のエネルギーにもなり、肌の水分保持にも効果があるといわれています。ただし、摂取しすぎると肥満や肌荒れにつながってしまうため、ほかの食事と栄養バランスを整えながら摂取する必要があります。
鉄分
チョコレートには亜鉛・銅・鉄といったミネラル類が多く含まれており、そのなかでもとくに鉄を多く含んでいます。鉄分は体内に流れる血液を作るのに必要な成分です。そのため、鉄分を適量摂取することで貧血対策に効果的です。日頃から倦怠感・めまい・立ちくらみ・疲労感といった症状に悩まされている方は、鉄分不足が原因かもしれません。チョコレートを毎日少しずつ摂って鉄分不足を解消しましょう。
カカオプロテイン
チョコレートには「カカオプロテイン」と呼ばれる良質なタンパク質が多く含まれています。カカオプロテインは難消化性という性質を持つため、通常のタンパク質のように小腸で消化吸収されず大腸までそのまま届きます。大腸に届いたカカオプロテインは便のかさ増しをしてくれるため、便通改善に効果的です。一見すると「プロテイン」という名称から筋肉増強につながると思われがちですが、カカオプロテインの主な効能は整腸作用です。
効果的なチョコレートの食べ方
ここからは、健康効果につなげられる効果的なチョコレートの食べ方について解説します。チョコレートの摂取で期待される効能は、食べるタイミングによって異なります。ただし、カロリーが高い食品である以上、食べる量には気をつけなければなりません。
朝食時に食べる効果
朝、チョコレートを少量食べることで血行促進や覚醒作用により目覚ましの効果が期待できます。これはチョコレートに含まれるテオブロミン、ビタミンE、カカオポリフェノールによるものです。また、カカオ成分の多いビターチョコレートやダークチョコレートはほどよい苦みを感じられるため、味覚の面でも目覚ましに最適です。
仕事前や仕事中に食べる効果
仕事前や仕事中に食べるチョコレートには、脳の働きを活性化させる効果が期待できます。これはチョコレートに含まれる多量の糖質やテオブロミンによるものです。とくにテオブロミンには覚醒効果があるため、ここ一番で集中したいときや物事を記憶したいときには効果的といえるでしょう。
仕事の終わりに食べる効果
仕事終わりに食べるチョコレートは、ストレスの緩和やリラックス効果が期待できます。これはチョコレートに含まれるテオブロミン、カカオポリフェノール、トリプトファンによるものです。これらの成分は、精神の安定や自律神経を整える効果があるといわれています。
夕食後に食べる効果
夕食後〜就寝の間に食べるチョコレートには、リラックス効果が期待できます。これは前述したテオブロミン、カカオポリフェノール、トリプトファンによるものです。ただし、夕食後であっても就寝時間が近い場合は、テオブロミンの覚醒効果によって、かえって眠りにくくなってしまう可能性があります。
チョコレートを食べる際の注意点
ここからは、チョコレートを食べる際の注意点をいくつかご紹介します。チョコレートには精神の安定や整腸作用などさまざまなメリットがある一方、多量に摂取するとかえって不健康につながってしまいます。チョコレートを食べる際は、以下の点にご注意ください。
食べすぎは肥満の元
チョコレートはカカオポリフェノールや鉄分など健康によい成分を多く含んでいるものの、大半は脂質と糖質で構成されています。一般にチョコレートのカロリーは100g換算でおよそ550kcalあるといわれており、数ある食品のなかでも高カロリーな部類です。健康によいからといって食べ過ぎると、肥満につながってしまいます。
妊娠中は摂りすぎない
前述したように、チョコレートにはテオブロミンと呼ばれるカフェインに近い成分が多く含まれています。妊娠中や不眠症の方はテオブロミンやカフェインの摂取量を控えなければならないため、摂取量を抑えたほうがよいでしょう。
また、カフェインやテオブロミンという成分はほかの食品や飲料にも含まれています。とくに、コーヒーとチョコレートを一緒に食べると高確率で許容量を超えてしまうため、食品の組み合わせ方には気をつけなければなりません。
カカオ含有量をチェックする
一口にチョコレートといっても、種類によってカカオの含有割合は異なります。基本的にミルクチョコレート・ビターチョコレート・ダークチョコレートの順でカカオの割合が多くなっていきますが、販売するメーカーや商品によってカカオの割合は異なります。
そのため、健康を目的としてチョコレートを食べるのであれば、基本的にビターチョコレートやダークチョコレートのなかでもカカオの割合が多いものを選びましょう。なお、ホワイトチョコレートにはカカオ成分が含まれていません。
チョコレートには健康に役立つ栄養素が豊富に含まれている
チョコレートにはカカオポリフェノール・テオブロミン・鉄分・亜鉛・銅など、健康によいとされる成分が豊富に含まれています。適切に摂取することで貧血改善や老化防止などさまざまなメリットがあるため、積極的に取り入れたい食品です。ただし、多量摂取は肥満につながる可能性もあるため、適量を心がけることがなによりも大切といえるでしょう。