
農家支援プロジェクト「みんなで育てるカカオの森プロジェクト」のレポート第31弾!
みなさんこんにちは!スタッフのしりです。
Report.30見ていただけましたでしょうか^^
前回よりディープにこのサンタアナ・ラ・フロリダ遺跡(通称SALF)についてお話いたします。

5500年前に見つかったSALF遺跡を築いた文明は、「マヨ・チンチぺ文明」(マヨ・チンチぺ・マラニョン文化)と名付けられました。ユニークな名前ですよね。
実は、この地域を流れる3つの川「マヨ川」「チンチペ川」「マラニョン川」から名付けられました。
さて、マヨ・チンチぺ文明はどのような文明社会だったのでしょうか。
それを読み解くカギの一つ目は、遺跡から出土した土器になります。
カカオの使用根拠が見つかったこれらの土器は、文明を象徴する人々の思想が込められています!
見た目が興味深いですよね!

まず頬をぷっくりと膨らませている土器です。
一体何を表しているでしょうか、、、
実は聖なる人「シャーマン」がコカの葉を噛んでいる様子を表しています。
実際に、この器からコカの成分を抽出するために使われる石灰の跡が見つかっています。

次は、表情が変わる土器です。表(写真左)と裏(写真右)で表情が違います。
笑っている表情(写真右)には、ぺろっと舌を突き出しています。
これは、コカやカカオなど聖なる植物の力を借りて、人間が強い動物(ジャガーやヘビ、ワニなど)に変容した姿を表しております。
舌を出すことでその強さをアピールしています。
さらに、顔の周りの石器は貝殻で作られております。

↑左から表、横、裏
これらの土器は、当時の人々にとって聖なる植物を入れて飲んだり持ち運んだりするための道具でした。
神殿からは他にも様々な土器が出土されており、神への神聖なお供え物として持参していたと考えられます。
これほど工芸技術が優れていたとは驚きです!
カギを読み解く二つ目は、住宅の隣にある神殿です。
土、石、泥を幾重にも重ねて造られています。
彼らはなんと900年もの時間をかけて3世代以上にわたり「炉」を造り替えていました。
石をぐるりと並べ、玉ねぎの断面のように小さい輪から大きい輪に広げ、螺旋の構造を建築したのです。
彼らは、建築のなかに大自然のエネルギー、いわば「宇宙」を再現していました。
川の渦巻きや夜空にきらめく銀河を建築に写し、神聖な儀式の場として大切に使っていました。

↑上から見ても、下から見ても歴史の重みを感じます
さらに彼らは、この地域にとどまらず広範囲な交易をおこなっていました。
遺跡からは、太平洋沿岸部で採れる貝殻「ウミギクガイ(スポンディルス貝)」が見つかっています。
この貝殻は、海の神の恵みを象徴し、女性・多産・豊穣を意味する神聖なものです。
先ほどの「表情が変わる土器」の飾りに使われており、交易の象徴や子孫繁栄のお守りだったのではないでしょうか。
興味深いことに、この貝殻が現れる時期はエルニーニョ現象(海水温の上昇)が起きるタイミングと重なります。
5500年前のシャーマンたちは、海の異変を伝えるこの貝殻を通して、大雨を予測し、洪水がもたらす自然のサイクルに合わせて、農作業の時期や供給を管理していたと言われます。
自然のサイクルを読み解く彼らの知恵にはとても圧倒されます。
実は、現在東京駅のインターメディア施設2Fにて表情が変わる土器が一般公開されております。
私自身も、見に行きました!
近くで見ると、表情の印象や装飾のリアルさにびっくりしました。
↓気になる方はぜひチェック
https://www.intermediatheque.jp
5500年前から現在に至るまでカカオが姿を変えずに栽培され消費され続けていることに歴史のロマンを感じます。
改めてエクアドルがもたらす自然の恵みがとても素晴らしいことだと実感しました。
当時の人々は、まさかこれが現代で美味しい「チョコレート」になるなんて想像していたのでしょうか^^
なんだかとても不思議な感覚です。
【資料・写真提供】 フランシスコ・バルデス博士(Dr. Francisco Valdez)
【出典資料】 Ecuador: The origin of the domestication of cocoa (Theobroma cacao), its dispersion in the Americas